「SWEET BLACK」後藤真希による全曲解説

2009年9月16日発売で、今更過ぎるとは思ったのですが、このブログで取り上げてなかったことと、フルアルバム発売に向けて、どうしても残しておきたかったので。

Queen Bee with BIGGA RAIJI」

オンナとオトコの関係を女王蜂と働き蜂に例えて描いた、面白くて、可愛くて、ちょっとグッときちゃう、とっても個性的な世界観の楽曲です。サウンドは、ミニアルバム1曲目に相応しい、思わず踊りたくなっちゃう超アゲアゲチューン。1曲目はコレしかない!って感じ。働き蜂役として参加してくれたのは、SPICY CHOCOLATEのRAIJIくん。スキルもビジュアルも完璧でした! 女王に尽くすカワイイ働き蜂にみえて、実は、愛する女性をいつもそばで支える頼れる男性を表現したRAIJIくんのリリックは最高! 男性スタッフから圧倒的な支持を得てましたよ(笑)。そのあたり含め、この曲は、rhythm zoneのレーベルメイトでもあるクリエーター・AILIちゃんのフルプロデュース。私とAILIちゃんのガールズトークから生まれた企画でしたが、最終的にはSWEET BLACK世代女子のキモチをステキに代弁してくれた作品だと思います。この曲にはMUSIC VIDEOがあるのですが、当初は予定にありませんでした。ただ、あまりに素晴らしい曲が出来たのと、私とRAIJIくん、AILIちゃんのVibesが最高だったので、スタッフさんの努力もあって急遽制作できることになったんです。東京から遠く離れたスタジオで仲良く撮影したのは楽しい思い出です。あのまま3人でドライブに行きたかったなあ(笑)。

「Lady-Rise」

この曲は、SWEET BLACK STORYで桜沢エリカさんが描いたコミックの続編を音楽で表現しようというのがテーマでした。桜沢さんのキャラクターとか世界観ってキャッチーだから、そういうイメージでトラックを選びつつ、歌詞では、SWEET BLACK世代の女子が普段思っていても口には出せなかったり、好きな人のために心掛けているだろう事を私なりに表現してみました。スト−リ−としては、コミックで最後、一人で歩き始めた主人公の愛ちゃんに新たな出会いがあった!しかも年下の男子だった!という設定(笑)。でも、オンナとして成長した愛ちゃんならきっと、「年齢なんてカンケ−ない♪」という前向きなキモチになるだろうな、という期待と想像です(笑)。この後、年下の彼と彼女がどんな恋愛をするのかはみなさんの想像次第。レコーディング時にはコミックのタイトルは未定だったんですが、先に決めたこの曲のタイトルを桜沢さんが気に入ってコミックも「Lady-Rise」にして下さったことは本当に嬉しかったです。「Lady-Rise」はその言葉通り、「“オンナ度”をUPしよう!」というSWEET BLACK女子へ向けた応援歌。男子のみなさんは、「オンナって実はこう思ってるのか」と歌詞を読み解いてみてください。

「Candy」

ズバリ、オトコを挑発する曲です(笑)。「草食系男子」って言葉が流行り始めてから、ガールズトークしててもその話題で盛り上がることが多いんですけど、外見だけでなく精神的な部分でも、イマの時代って男子より女子の方パワフルな子が多いと思うんです。色んなシーンで活躍する女性をゲストにお迎えするラジオ番組のナビゲーターを今年の1月からずっとやってきたこともあり、「向上したい!」って本気で思ったときの女子は、本当に強いということを実感してます。この曲のデモを聴いたとき、ものすごく力強いトラックにピンとくるものがあったので、自分で作詞したいと手を挙げました。同世代の男子に対して「もっと頑張ってよ!」という思いを、エッチなシチュエーションを使って書いてみたんですが、どうでしょう? 彼氏にストレス溜まってる女子が、彼氏の前でカラオケで思いっきり歌ってくれたりしたら最高ですね(笑)。

TEAR DROPS with KG」

しっとりしたバラード。自分で言うのもなんですが、歌詞もメロディもトラックもシンプルだけど奥が深くて、聴けば聴くほどハマッていく曲だと思います(笑)。森若香織さんに作詞していただいた歌詞を初めて読んだときは、「まるで私のことみたい!」と思ったほど、激しく共感しました。「寂しいから笑っていたんだ」「必ずどちらか傷つく恋なら私が傷つこう」とか、「そうそう!」みたな(笑)。私も、相手を傷つけるくらいなら自分が傷つく方を選んじゃう。その方が楽なんです。もし、私と同じような女性が多いようであれば、この曲はきっと、みなさんにとってもリアルに聴こえるでしょう。そしてKG! 彼の声はハスキーでセクシーで、この曲の世界観をさらに切なく盛り上げてくれています。でも実は、よく読みながら聴いていくと最後は前向きになれる歌詞なので、皆さんにとって、「SWEET」な曲として受け取ってもらえたら嬉しいな。レコーディングでは、そういう想いが伝わるように気持ちを込めて歌いました。ちなみに、歌っていないときのKGは、ホントによく喋る喋る(笑)。彼は最高のムードメーカーで、KGがいる現場はいつもハッピー! 楽曲の雰囲気とは裏腹に、レコーディングが終わった現場は、彼のおかげでみんな笑顔が絶えませんでした(笑)。

「Mine with KEN THE 390」

去年のa-nationで私のパフォーマンスをご覧いただいた方はお気付きの通り、この曲はその時に歌った「hear me」のリメイクです。rhythm zoneに移籍したばかりの私が歌った「hear me」を、一年経って、今度はSWEET BLACKという視点からもう一回練り直してみようかなと。U-Key zoneさんによるトラックはほぼそのままに、歌詞というか世界観をガラッと変えてみました。「Lady-Rise」とは違う意味で「SWEET BLACK女子みんなで盛り上がろう!」という曲を作りたいと思い、私たち女子をSHOWの主役に例えて書いた歌詞です。そんなことをスタッフさんと話していたら、「じゃあ、もうひとつスパイスを加えよう」という話になり、レーベルメイトのKENくんに、SHOWを盛り上げる役をお願いしました。KENくんはとても真面目で素敵、そしてハンサムなジェントルマン! だけどリリックとラップは最高に力強くて、聴いてるだけで上がってきます(笑)。もし、私のLIVEに来てくれたときには、後藤真希はこんなこと思ってるのか、と想像しながら見てみたら面白いかもしれません。男性のみなさん、自分のハートは守っておいてくださいね(笑)。

「Fly away」

記念すべき、SWEET BLACKプロジェクト第1弾楽曲です。SWEET BLACK STORYで話題を呼んだ金原ひとみさんの短編「マンボ」を、私なりに解釈して作り始めました。ストレートで力強いSEX描写が注目を集めた「マンボ」でしたが、それらは全て主人公の女の子の妄想で、彼女は妄想しながら現実社会とバランスを取っている。私はそこに共感したわけです。だから、私にとっての「妄想」と「現実」について書き綴ってみました。誰にも見せられないと自分の心に鍵をかけた部分を、誰かに破ってほしいという「妄想」。しかし、それが現実となったとき、相手に対して冷静にその理由を求める「現実」。仕事でも恋愛でも趣味でもSEXでも何でも、「好きなものに対しては果てしなく妄想が膨らむ一方で、現実として好きなものに対しては驚くほど冷静になる」ってこと、ないですか? サウンドについては、SWEET BLACKプロジェクトの第1弾ということで私もスタッフさんも本当に色々と悩んで、最終的に選んだのは、rhythm zoneに移籍して始めてプリプロしたデモ曲でした。重厚なトラックで始まるんだけど、サビではいきなりキャッチーな展開になるこの楽曲には「救い」がある(笑)。金原さんの「マンボ」とパーティーチューンは似合わないけど、ダークな音楽にはしたくなかったので。ちなみに、この曲のMUSIC VIDEOは去年のクリスマス・イヴに撮影しました。後半のダンスシーンは深夜3時! それはそれは寒くて大変な一日だったけど、監督やダンサー、スタッフさんも一丸になってくれて、良い作品に仕上がりました。そちらも是非チェックしてください。

「Plastic Lover」

「Fly away」のリミックスをhouse nationの「Ruby」に収録していただいたのをきっかけに、今年の春から夏にかけて、house nationツアーに参加しました。全国8ヶ所のクラブで深夜に歌うという、私にとっては初めての本格的なクラブツアー。本番の後にラウンジで乾杯してみんなでブチ上がったり、どの会場もとても楽しいパーティーナイトでした。でも一番印象深かったのは、house nationはYUMMYちゃんやAMIGAさんなど魅力的な女性DJが活躍していて、フロアにも女の子が多くて、イマドキの女子ってクラブでもパワフルだなあ、ってこと。そしたらなんか、SWEET BLACKでも女子のためのフロアチューンを作りたい!と思うようになってきて、気が付いたら、そのツアーをまわっているときにhouse nationのスタッフさんと「オリジナル曲作りましょう!」と盛り上がってた(笑)。日本語のハウスって難しいから、作詞はプロのLeonnさんにお任せ。彼女は「Fly away」や「Lady-Rise」のリリックプロデューサーでもあるので、私のこともよく理解してくれてるし、安心でした。Leonnさんも20代。「Candy」にも通じる、SWEET BLACK女子の主張を感じる歌詞は、私も大好きです。この曲は何度かフロアでも歌いましたが、徐々に盛り上がっていく感じがたまりません! アドレナリンが上がるので、深夜のドライブソングとしてもおススメです。ただし飛ばし過ぎないように(笑)。

「with…」

加藤千恵さんとおかざき真里さんによるSWEET BLACK STORY「DAYS」を受けて作詞したのが、この「with…」です。「DAYS」を読んで私が思ったのは、「本当に大事なものは、身近なところにある」ってこと。私にとってそれは、母でした。デビュー10年目を迎えた今年、そうやって考えると、いや、そうやって考えなくても(笑)、この10年間、良いときも悪いときも私を一番近くて支え続けてくれたのは間違いなく母で、だけど母への感謝の気持ちを音楽で伝えたことはありませんでした。だから、SWEET BLACKプロジェクトにその機会をもらったと思って、日頃は照れくさくて言いにくい想いを、出来るだけ素直に言葉にして歌ったつもりです。感謝のキモチって大切なことは一緒だから、私にとってこの曲に出てくる「あなた」は母ですが、聴く人によって「あなた」が「彼」だったり「友達」だったり「先生」だったり、誰であってもスーッと入っていける作品になったと思います。AKIRAさんのアレンジによる耳心地良いギターのトラックも素敵で気に入っています。個人的にも大切で、思い出深いバラードになりました。

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